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2010.09.27

ほのぼの十日物語(後編)

(後編)

ハンプの御陰で胸水も消えていく。 が、その過程が長い。 一日700ml の水分補給は認められているが、体全体は常に脱水状態にあるので、例えば、マラソンを完走した後のように、疲労困憊状態である。 新聞も読む気がしない。 テレビもあるが、見ようとも思わない。 唾液の分泌も悪くて、食欲も出ない。 ただただ、じっと時間の経つのを、 胸水が消えるのを待つだけである。 これは正直言って、辛い。

こんな時、人間を救うのは、家族との会話である。 私の場合は、妻が、娘が、又その両方が、毎日のように来てくれた。 ついついもらす私の弱音を優しく聞き、慰め、励ましてくれる。 休日には、遠路、息子夫婦が来てくれた。 話せば、今の世間、彼らの現場での仕事も辛いことばかりなのである。 老人の愚痴は贅沢なのだと、反省したりする。

病院の給食、その献立内容は以前に比べると、ヴァラエティが増え、格段に好くなっている、が、何しろ食塩制限が厳しいので、先ずはほとんど水煮みたいである。 これでは食欲が進まないので、考えたあげく、味の素を買ってきてもらって、ご飯以外のすべての副食に、これを振りかけて食べた。 こうすれば、食塩制限は守られ、且つおいしくなるものだ。  何よりもこの時期、妻が差し入れてくれた新鮮なトマトが最高においしかった。

辛い最初の5日間、4人部屋の一隅にいた。 病室内には、それぞれにプライバシーがあり、病院にはまたルールがあり、わがままは許されない。 ルールがあればそれを破るアウトローもいる。 夜、眠れないのが何よりも辛い。 ので、アーテラックスという、強力な睡眠剤(実際は抗ヒスタミン剤)を消灯前に点滴で注入してもらい、睡眠を確保するようにした。 

幸いなことに、連休前に希望していた個室に移れた。 ハンプも外された。 嬉しく有難かった。 個室では、マイペースで行動することが出来るので、早速に、早寝早起きを実行した。 アーテラックスの点滴もなくなった。 娘が買ってきてくれた、塩野七生の「十字軍物語1」を読んだ。 この物語は実に面白い。 体力回復のための良い療養時間をこなすことが出来た。

かくして入院10日目に退院許可が出た。 退院の条件は、名古屋ハートセンターで診察を受けること、となっていた。 ほのぼの十日物語である。

皆様 有難うございました。

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2010.09.25

ほのぼの十日物語(前編)

ほのぼの十日物語(前編)

ほのぼの版 十日物語(デカメロン)である。
本版デカメロンのように、避病のために別荘に隠るのではなく、
重病のために、病院に籠もったときの話である。

先日までの猛暑日、熱帯夜、熱中症が連続する中、心不全に起因する肺水腫の常習患者は、その対策に全く苦慮、迷走する。 熱中症を防ぐためには水分は補給せねばならないとされながら、一方、肺水腫対策としては、しっかり利尿剤を飲んで、排尿に努めるべし、とある。 実際これを履行すると、体の水分代謝機構は乱れ、同時に、体温調節機構も乱れてくる。 要するに体調は不全となる、つまりフラフラである。 当然心臓自体も不全に近い状態が継続される。 これが今回私が病院に籠もった原因である。

心不全に基づく肺水腫、呼吸困難である。 具体的にその時点で私は横臥しての呼吸は出来ず、起坐呼吸しかできなかった。 これは苦しい。 実に苦しいものである。

京大循環器内科 救急外来で、救急担当医M女医の、迅速的確な処置を受けることとなった。 これは幸運であった。 患者の運命が決まるのは、担当医によるところが大きい。 M女医の正確な診断と判断により、即刻入院、胸水を取り除くためにハンプの点滴が行われた。 時々刻々、大量の排水(排尿)がすすみ、夕刻には息苦しさも相当程度解消され、その夜は起坐呼吸しなくても斜体ながら睡眠をとることが出来た。 救われたのであった。

ハンプの点滴処置は昼夜連続して、数日間進行する。 患者はベッドの上だけの生活となり、身の回りの生活行動はすべて、看護師さん、家族の世話になることになる。  申し訳ない、有難い、これらの言葉しかない。

ハンプの威力は凄い。 体中の水分はどんどん抜かれていく、ので体重がどんどん減少していく。 ベッド上だけの生活で、動くこともなく、体重が減少すると言うことは、同時に、体力も減少していくことになる。 まるで 干しカレイのような姿となる。 ベッドサイドに立つだけでふらついたりする。 声はかすれるし、視力が落ちてくる。 
かのゲーテが臨終の時、「mehr Licht!」(もっと、光を!)と呟いたという、その気持ちが分かる。
 

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2010.09.24

拝啓 ご無沙汰しましたが

皆様 ご無沙汰いたしました。
ご想像の通り、老生またまた、肺水腫症状となり、
ここ10日ばかり、入院治療を受けてました。
お陰様で、胸水はほぼ完全に消失し、一昨日夕刻、
退院し、現在自宅療養中です。

入院中に創った都々逸をご披露します。

(党首選挙)
ずれがはっきり 国会議員 聞こえないのか 民の声 (民主党)

小沢干されて 泥底見えた 欲に群がる 雑魚ばかり

(入院)
一寸待ってと 看護師さんの 甘い言葉に 身を焦がす
(病院での第一の心得は ただただ待つことです)
医師は御多忙 患者は退屈 じっと我慢の ホスピタル       

                             妄言多謝

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2010.09.09

9月9日

9月9日

日本では最近、9月9日を「救急」の日としている。 実際、この時期、特に今年は、毎日のように、救急車が走り、救急ヘリコプターが飛び、中州に残された釣り人を激流の中から救い出す救急隊員の活躍が報じられている。 何か切迫感がある、決してめでたくはない日のようである。

が、実際は、9月9日は、重陽の節句(菊の節句)といい、古来めでたい日なのである。
「重陽の節句の起源は、ほかの節句と同様古来中国にさかのぼることができます。中国では、奇数は縁起のよい陽の数とされ、一番大きな陽の数である九が重なる9月9日を、「重陽」として節句のひとつとしてきました。」

今日一日、めでたい日なのだから、めでたく過ごしたいものである。 今晩の献立の中に菊の花を添えてみようか。

 

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2010.09.08

白露

白露

朝はしっとりと ぬれている。 朝はやさしく ふくらみをもっている。

(八木重吉 「朝」 より)

この日が白露だった。 老生、一日間違えていた。 とにかく、この日、洛北修学院に、久しぶりに雨が降った。 万物が待ちこがれていた雨だった。 台風9号の余波によるものだったが、ここ修学院では降雨量もそれほどでもなく、被害もなく、まさに恵みの雨となった。 風も涼しく、凌ぎやすかった。 このまま秋本番になってくれればいいのだが、予報官は明日から又暑さがぶり返すと、冷淡にいう。 いつまで待てばいいのか。

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2010.09.06

金華山

金華山

昨日、金華山沖の鯖寿司を食った。 金華山、懐かしい名前である。 その寿司はうまかった。 と、同時に、とんでもない昔の思い出がよみがえった。 どうしてこんな唄をおぼえたのか、その動機も時期も定かでない。
無理にこじつけて考えれば、大幼(大阪陸軍幼年学校)在籍中、終戦となり、その終戦処理、残務整理中のフリータイムに、先輩達が、我々の寝室にやってきて、いろいろと回顧談をしてくれたり、軍歌でなく、俗謡を教えてくれたりしたことがあった。 その時に覚えたものだと思う。

♪♪  俺が死んだら 金華山の沖でよ 盥浮かべて 鯨釣るよ ♪♪

♪♪  俺が死んだら 三途の川原でよ 赤鬼どもと 相撲とるよ ♪♪

まだまだ教えてもらったものがある。 又の機会に書くことにしよう。

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常夏の国

常夏の国

二百十日もことなく過ぎて、明日はもう、二十四節気の白露というのに、未だに日本列島の猛暑日、熱帯夜の連続は止まりそうにない。 私の予想の猛暑日も白露までと言うのも、完全にはずれ、どうもこの暑さ、お彼岸まで続きそうな気配である。 いにしえより、「暑さ寒さも彼岸まで」との言い伝えがあるが、まさか、猛暑日がお彼岸までとは、誰しも想定外のことであろう。 ちなみに昨日、京田辺市では、39.9℃と言う最高気温を記録している。

我々は小学校で、日本列島は温帯に位置すると習って、事実その通りだが、今年に限っては、そして又、これから毎年かもしれないが、今や日本列島はすでにして、(亜)熱帯地方に入っているのではないか、と思わせるぐらいである。

(亜)熱帯地方には、それなりの植生があり、動物にも特有の生態がある。 悪い方を考えれば、毒蛇や毒虫や、マラリヤ蚊が日本列島各地に常駐する危険があるだろう。 その時には新たな救急態勢、医療態勢が必要とされるだろう。 

又、現今の日本の勤務態勢にも変化が求められるかもしれない。 常夏の国、スペインでは、午後には、仕事を休み、シエスタとして、公式に1時間足らずの仮眠をとる時間がもうけられている。 猛暑の中、ふらふらになって、仕事を続けるより、シエスタ的にいったん仮眠を採ってから、次の仕事をする方が、効率は上がるのではないか?! 
将来ともこの異常気象が続くのであれば、これは国会レベルでの、制度として考慮されるべき問題となるであろう。

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2010.09.01

長月朔日

秋来ぬと 目には全く 見えねども 心を癒す 夜のコオロギ

9月になったというのに、気象予報士の言うこと、このところ毎日同じ科白である。 「日本列島の各地で、猛暑日、熱帯夜が続くでしょう。 室内にいても熱中症になるから、充分に注意するように」と。 又、「空気が不安定だから、ところによっては、集中豪雨があるから、出水、浸水に注意するように」と。 この同じ言葉を何度聞いていることか。
とりわけ、後半の「ところによっては」と言う言葉ほど無責任な科白はない。 今の予報とはこの程度なのだろうか?!

そして、今朝の空も事実真っ青、秋の気配はない。 日差しが痛く、アスファルトの道はは焼けている。 打ち水を何度しても、「焼け石に水」で、かえって蒸し暑くなるぐらいである。 打ち水は熱帯夜にも効果がない。 「ところによっては」の雨を期待するが、空には煌々と半輪の月が輝いているだけである。 一つだけ救われるのは、夜になると聞こえてくる、コオロギの鳴き声である。 彼らも秋が待ち遠しいのだろう。

やはり涼風は白露(9月8日)までは無理かもしれない。

きりぎりす 鳴くや霜夜の さむしろに 衣かたしき 独りかもねん
                                      (新古今集)
は、いつ頃になるだろう。 

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